湯川れい子 〜結局は彼女はミュージカル訳者向けではないのか?〜

彼女の手掛けた作品:
美女と野獣歌詞はこちら
アラジン歌詞はこちら
ポカホンタス歌詞はこちら
ターザン(歌詞はこちら

独断と偏見で選ぶ彼女の名訳
一位、川の向こうで
二位、ひと足お先に
三位、夜襲の歌

ゴミ箱行き
一位、カラー・オブ・ザ・ウィンド
二位、ベルのひとりごと

彼女は英語が好きである。原語版にある物をそのまま持ってくる事はもとより、原語版にない英語も持ってくる。ま、後者は少なくとも手抜きでは無い、だが個人的には気に入らない。個人的には日本語版は日本語で作詞して頂きたかった。ジーニーの様な役柄では英語も有りかも知れないが、、、。Friend Like Meという歌詞をユア・ベスト・フレンドと当てる辺り(”フレンド・ライク・ミー(ボクは大親友)”〜アラジン〜)、好きではないが手抜きでは無いし独創的なので、まあ良しとしよう。

やはりポップスの感覚を引きずっているのだろうか、いわゆる”キーワード”的な表現を原語から流用することが多いようである。A Whole New World(”ホール・ニュー・ワールド(新しい世界)”〜アラジン〜)、Savages(”サベジズ(パート1)””サベジズ(パート2)”〜ポカホンタス〜)等。

しかしやはり一流のプロだなと感心することもある。”ひと足お先に”ではあのアラジンと町の人々掛け合いが見事だった。原語では一言で済むのを日本語に訳したら長くなるのを、最小限の日本語でまとめたのは技であろう(多少無理もあったが)。”川の向こうで”の冒頭も然り。曲のスピード感、リズム感が出る良い訳と言えよう(土居の表現力によるところも大きい)。至る所で韻を踏む努力をしてるのも評価されるべきであろう。

しかしこれは間違いなく誤訳であろうと言えるのが、”カラー・オブ・ザ・ウィンド”。これは意味が違って伝わるのでいけない(こちらを参照)。

全体的にもう少しポップス作詞者の視点を離れて作詞をして欲しいものである。